低温調理器とは?仕組み・原理・できること・メリットを分かりやすく解説
第4の調理法として、今注目を集めている低温調理。自宅で手軽に使える低温調理器もたくさん販売されていて、チャレンジしてみたいと考えている人も多いと思いますが、その仕組みや原理についてはわからないという人も少なくないのではないでしょうか?
結論から言うと低温調理器とは、下処理をした食材と調味料を密封できる袋などに入れて一定の温度になるよう管理されたお湯の中で湯せん調理をすることができる調理機器です。
元々はフランス料理のフォアグラのテリーヌを調理するために開発された調理法で、焼く・煮る・蒸すといった調理方法に次ぐ“第4の調理法”と呼ばれて広く普及しました。
真空状態の袋の中で100℃を超えない温度での調理となるため、栄養素の破壊や水分の流出が防がれるため旨味が凝縮。家庭で一流レストランのような味を再現できるとして注目され、低温調理器を使ったメニューやレシピをSNSやブログで紹介している人が増えたことでますます話題となっています。
この記事を読めば次のことがわかります。
- 低温調理器とは?仕組みや原理を解説
- 低温調理器のメリットとデメリット
- 低温調理器でできること、料理メニュー
- 低温調理器の注意点、安全な使い方
- 低温調理器を選ぶポイントと気になる機能
これから低温調理器を使ってみたいと思っている人や購入予定の人はもちろん、そもそも低温調理って何?むずかしくないの?と疑問に感じている人にも読んで欲しい内容になっています。
低温調理器デビューをして早2年、今では毎日のように使い込んでいる私が低温調理器のいいところもここがちょっと…というところも詳しく解説していきたいと思います。これを読み終わった頃には、きっと低温調理器での調理をしてみたくなっているはず!ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
もくじ
低温調理器の仕組みとメリット・デメリット
低温調理器の仕組み・原理を解説
まず低温調理器の仕組み・原理についてですが、その名の通り低温でじっくり時間をかけて食材に火を通し加熱するという調理法になっています。
元々フランス料理のテリーヌづくりのために開発された調理法ですが、最近では焼く・煮る・蒸すに次ぐ“第4の調理法”として一般にも普及し多くの人が取り入れるようになってきました。
一定の温度を保ったお湯の中に、真空状態にパックされた食材の入った袋を投入することでできる湯せん調理となりますが、以前は大掛かりな専用調理設備が必要とされプロの技と考えられていました。しかし今では『ANOVA(アノーバ)』や『BONIQ(ボニーク)』などで知られるように家庭用の低温調理器も多種類販売されています。
低温調理器の仕組みはシンプルで、低温調理器を水を張った鍋や容器に入れて温度を設定することで水をあたため、設定された温度に保ち続けることができる器具となっています。その中に食材を入れて時間をかけて加熱するため、100℃を超えない低温でもしっかりと調理することができるのです。
低温調理器では温度と時間を設定しておけば、後はそのまま放っておけばいいのでその間に他の家事ができるというメリットも。共働きが一般的となり、バタバタと忙しい中で料理をつくるときにキッチンに張りついていなくてもいいのでとても助かると評判です。
また、食材は専用パックやフリーザーバッグなどに入れて真空状態にして低温調理します。そうすることで食材に均一に火が通るだけでなく、栄養や水分を逃しにくく味の染み込みを促す仕組みになっています。
栄養バッチリで味も食感も抜群のプロのような料理が、自宅で手軽につくれるとして低温調理器は今とても人気を集めているのです。
低温調理器のメリット・デメリット
低温調理器のメリット
- 食材の栄養や水分を逃さず調理できる
- 温度と時間設定後は基本的に放置でOK
- 火加減のむずかしい料理も失敗しにくい
- 真空状態でつくるため味の染み込みが抜群
- 複数のメニューを同時調理できる
- 調理中の油はねなどがなく片付けがラク
低温調理器のデメリット
- 料理ができ上がるまでに時間がかかる
- 低温調理中の鍋を置いておくスペースが必要
- 加熱不足による食中毒のリスクがある
低温調理器でできること・料理メニュー
低温調理器でできることは基本的に湯せん調理です。従来の調理では湯せんというと何かをあたためて溶かしたりするときに行う工程だと思いますが、低温調理器では湯せんがメインの調理となります。
一部材料を除き、真空状態にした袋や耐熱容器に入れた食材を低温調理器で温度設定したお湯の中に浸けることでじっくりと熱を加える調理法。この低温調理でできることは、実は非常に多岐にわたります。
低温調理器でできることとしてまず挙げられるのが、肉・魚料理です。薄切り肉からブロック肉までどんなタイプの料理でもつくることができますが、低温調理器だからこそ失敗なくできる鶏ハムやポークチャーシュー、ローストビーフなどブロック肉の調理がおすすめです。
じっくりと内側から加熱するので、表面を焦がしてしまうなどのありがちな失敗が起こらず誰でも本格的な料理をつくることができるとされています。
また、半熟卵や温泉卵、茶碗蒸しなど火加減がとてもむずかしいと言われる卵料理も低温調理器の得意分野です。とろとろ、ふわふわ、ぷるぷるの卵を味わうことができるので低温調理器を使うのであればぜひ卵料理は試してみて欲しいメニューです。
その他にも付け合わせの野菜メニューやおかゆなども合わせてつくることができます。メインも付け合わせもひとつの鍋で一度に調理できることも低温調理器のメリットだと思います。
さらに、意外かもしれませんが低温調理器ではプリンやチーズケーキ、コンポート、スムージーなどのスイーツやデザートもつくることができます。
普段の食事はもちろん、おもてなし料理のメインから食後のデザートづくりまで、低温調理器にはできることがたくさんあります。低温調理器を使いこなして、料理や食事を一層楽しみましょう!
なお、低温調理器で作る料理はこちらで詳しくご紹介していますので、興味がある方はご覧ください。
⇒低温調理器で美味しい鶏ハムを作る!おすすめ温度・レシピを公開
⇒低温調理器で美味しい温玉・温泉卵・半熟卵を作る!おすすめ温度・レシピ
低温調理器の注意点と安全な使い方
メリットやできることの多い低温調理器ですが、デメリットでも説明した通り菌の繁殖による食中毒を引き起こす可能性があるということを忘れないようにしましょう。
特に肉の中心部が40~55℃程度だと菌が活発に活動する温度だと言われています。そのため、十分な加熱前にこの温度帯で長時間置かれることのないように気を付けなければなりません。
食中毒予防では最低基準温度が75℃程度だとされています。75℃以上で一定時間加熱することで肉類に付着しているさまざまな菌を殺菌することができるとされているので、調理時の温度・時間設定の際に留意してください。
しっかりと中まで加熱するためのポイントとして、低温調理器で湯せん調理する前に食材を常温にしておくといいでしょう。冷たいまま加熱すると温度がなかなか上がらず、菌が繁殖しやすい温度帯に長時間さらされることになりやすいので注意しましょう。
また、扱う食材それぞれの特徴を知っておくことも大切です。肉類では特に豚肉の寄生虫リスクが高いので牛や鶏以上に十分な加熱を行わなければなりません。
低温調理器の選び方・気になる機能
対応水量や使用する容器について
低温調理器では鍋や容器などと一緒に使用することになるため、手持ちの鍋などとサイズが適応するかということを確認するようにしましょう。低温調理器では最低水位や水量が定められているので、それらを確認してきちんと使うことができるかということを確認します。
水量については、日常的な料理であれば10~15L程度で問題ないと思いますが、大きなブロック肉の調理や複数食材の調理を同時進行することが多いといった場合には20Lなど大きめのものを選ぶようにすることをおすすめします。
取付方法(クリップ式orネジ式or自立式)
低温調理器は水を入れた鍋などに取り付けて使用しますが、その際の取付方法も必ずチェックしておきましょう。
【クリップ式】は鍋などのふちに挟んで取り付けるだけでなので手軽に使いやすいというメリットがあります。使う頻度が多い家庭ではクリップ式が便利でしょう。ただし、鍋のふちの形状などによってはうまく固定できない場合もあるので注意。また、クリップのバネ部分が緩いことで調理中にずれてしまうこともあります。
【ネジ式】は大型のネジを締めることで低温調理器を鍋に固定することができるものです。ふちに厚みがあったり変わった形状をしている場合でも、取り付けられることが多いので、ほとんどの鍋に取り付けることができるでしょう。
最近見かけるようになってきた【自立式】は鍋の中に立てて使用するため、鍋のふちの形状などに関わらず使用できるメリットがあります。ただしまだ自立式の低温調理器はあまりないので、選択肢が少ないでしょう。
温度・時間設定の細かさ
低温調理器では温度と時間を設定して使用します。その際の温度調整、時間設定の単位についても確認しておくといいでしょう。多くの低温調理器では1℃単位での温度設定ができますが、高機能タイプでは0.1℃単位で設定することができ、より本格的な調理が可能になります。
リーズナブルな低温調理器の中には、温度調整が強弱のみであったり保温機能しかない簡易的なタイプもあるので温度・時間設定については購入前にしっかり確認しておきましょう。
真空にできる器具や袋など付属品があるか
低温調理を行う際には食材を袋に入れて真空状態にする必要があります。真空にすることで熱が均一に伝わり、調味料の染み込みなどを助けておいしい料理をつくり上げることができるのです。
低温調理器の中には、専用の真空容器や市販の袋を真空にすることができる器具が付属されていることがあります。また、メーカーが別売りで用意していることも。そのような付属品について確認して、価格などと合わせて比較してみるといいでしょう。
コンセントや取扱説明書が日本対応しているか
低温調理器は元々海外で普及してから日本にも広まってきたため、海外メーカーの低温調理器が多く、人気の低温調理器の大半は海外製となっています。
海外メーカーの低温調理器の中には、日本で使用する際に電源プラグを変換しなければ使用できないものや取扱説明書や専用サイトが日本語対応していないものもあるので注意しましょう。
最近では国内メーカーの低温調理器も増えてきていますし、海外メーカーのものでも変圧プラグがついていたり、日本仕様になっていたりする低温調理器もあります。使用する際困らないよう、そうした点においても確認するといいでしょう。
スマホ連動など便利機能について
低温調理をする際に絶対に必要な機能ではないものの、あると便利な機能についてもチェックしておきましょう。最近ではスマホと連動して調理時間を管理したり、アプリをダウンロードしてレシピ検索したりできる機能がついていることも。連動方法もbluethoothとwi-fiがあるので、家庭環境などに合わせて選ぶといいでしょう。
また、防水機能がついている低温調理器は万が一鍋の中に落としてしまった場合にも安心ですし、お手入れも楽なのでおすすめです。
低温調理器の仕組みやメリット・選び方まとめ
低温調理器は一定の温度でじっくりと湯せん調理をすることのできる新たな調理機器として今とても注目を集めています。肉料理や魚料理を中心に、ごはんものやデザートづくりなどできることがたくさんあります。
そして真空状態で調理を行う仕組みなので栄養や風味を逃さず、プロのような本格的な料理に仕上げることができると評判!さらに、設定時間中は放っておくだけでOKなので忙しい人にとってもメリットの多い調理機器となっています。
低温調理器では“ほったらかし調理”でも失敗がほとんどなく、おいしい料理が簡単にでき上がるので、ぜひ多くの人に取り入れてみて欲しいと思っています。
『BONIQ(ボニーク)』や『ANOVA(アノーバ)』といった人気メーカーをはじめ、本格的なものからリーズナブルで手軽に使えるものまで数多くの低温調理器が販売されているので、容量や搭載機能、口コミなどを比較して、それぞれのキッチン環境や使い方に合わせて選んでくださいね。